NOMURA VISION 2025 ~SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)/ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)/DEIB(Diversity:多様性、Equity:公平性、Inclusion:包摂性、Belonging:帰属意識)への取り組み~
2024.12.20
1967年に開院した当院は、2025年に開院58周年を迎えます。
次の未来に向けて、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)/ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)/DEIB(Diversity:多様性、Equity:公平性、Inclusion:包摂性、Belonging:帰属意識)への取り組みを行い、「地域から、そして医療従事者から選ばれる病院」を目標に掲げ、時代に選ばれる病院を目指します。
1) SDGs・ESG経営について
2021年、当院は富山県SDGs宣言において「全ての人に健康と福祉を」「住み続けられるまちづくりを」「人や国の不平等をなくそう」を目標に掲げました。
●富山県SDGs宣言について
持続可能な開発目標(SDGs)とは、誰ひとり取り残されることなく人類が安定してこの地球で暮らし続けることができるよう、環境問題・差別・貧困・人権問題などの世界の諸問題を整理し、解決に向けて具体的な目標を示したものです。
当院では、SDGsに関する取り組みを「富山県SDGs宣言」として2021年10月に県内病院として初めて宣言しました。
これらの目標を実現する手段として、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)について積極的に取り組む経営、すなわちESG経営を推進しております。
●ESG経営について
当院では、中長期的に次の50年を見据えて、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)について積極的に取り組むESG経営を推進しています。
・環境(Environment)
環境(Environment)に対しては、地球温暖化対策として温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルが必要になってきます。
カーボンニュートラルに向けて、医療法人社団尽誠会 野村病院では2020年に各階共用棟及び東病棟において一般照明をLED照明へ切り替えました。また、2021年から2022年にかけて全病棟の空調設備を高効率空調設備へ更新しました。
これらの取り組みにより、病院全体としてCO2排出量の削減に取り組んでおります。
・社会(Social)
社会(Social)に対しては、地域の医療・介護に貢献することはもちろんですが、当院ではダイバーシティ&インクルージョン宣言を行い、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しております。
当院では特に女性が働きやすい職場づくりを推進しておりますが、本来は女性や男性といったジェンダーを問わず誰もが働きやすい職場づくりが必要と考えております。すなわち、男女共同参画推進の先にはダイバーシティ推進があると考えております。医療・介護を取り巻く環境は加速度的に日々刻々と変化しており、その変化に対応するために、ダイバーシティの視点を重要視しております。多様な人材によって構成された医療・介護施設であれば、日々刻々と変化する医療・介護を取り巻く環境に対し、適切に対応することが可能と考えます。
また、当院では多様性を認めるのはもちろんですが、その上で多様性を受け入れてその能力が発揮できるようにすること、すなわちインクルージョンも推進しています。これにより、病院風土をさらに良い方向に変えていきたいと考えております。
当院ではダイバーシティとインクルージョンを推進し、多様なスタッフ誰もが輝き、そして活躍できる働きやすい職場づくりを目指しています。
・ガバナンス(Governance)
ガバナンス(Governance)に対しては、コーポレート・ガバナンスとして当院グループの各施設において事業継続計画(BCP)を作成しています。巨大地震や風水害等の自然災害が発生した場合においても、スタッフの安否確認と安全の確保に加え、医療介護事業を再開できる体制を早急に整え、地域社会への影響を最小限にする体制を構築しております。
また、当院ではコンプライアンス違反通報窓口を設置し、法人内の透明化を目指しております。また、コンプライアンスに関しては、ハラスメントや個人情報漏えい、SNSの不適切な発信等に対するスタッフ研修も実施しております。
2)
地域から選ばれる病院について
2-1)「全ての人に健康と福祉を」
地域から選ばれるため「全ての人に健康と福祉を」を目標に、地域ニーズに沿った医療を提供しております。まず、当院は2005年に富山県下初となる室料差額なしで病院病床の全室を完全個室化した、プライバシー保護と感染対策を両立した療養環境を整えました。また、医療ニーズの高い人工呼吸器・気管切開患者様は県外からも積極的に受け入れております。
超高齢社会の昨今、さまざまな理由から経口摂取や経腸栄養が困難な患者様が増加しており、その場合に中心静脈栄養が適応になります。中心静脈栄養が必要な患者様に対しては、従来法の中心静脈カテーテルでは穿刺時に致死的合併症が生じうる一方、上腕から挿入する末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)では穿刺時の安全性が高いことから、2017年3月に中心静脈穿刺合併症専門分析部会がPICCによる代替を含め慎重に決定するよう提言しました。また、PICCは感染のリスクが低いと考えられています。このため、当院では2017年5月からいち早く末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)と超音波ガイド下穿刺法を導入し、感染対策と医療安全にも注力しております。
また、当院では摂食嚥下サポートチームによるカンファレンスや嚥下内視鏡検査(VE)を導入しており、必要な患者様には嚥下機能評価や摂食機能療法を行っております。
このほか、中心静脈栄養患者様に対するリハビリテーションや入浴、人としての尊厳を守りADL(日常生活動作)の維持・向上につながる排尿自立支援チーム活動等も行っており、人間らしい生活を送れるように配慮しております。
地域ニーズに沿った介護を提供するため、介護医療院・居宅介護支援事業所・訪問介護ステーションの開設も行いました。
2-2)「住み続けられるまちづくりを」
「住み続けられるまちづくりを」を目標に、大規模災害時でも患者・利用者様へ必要なサービスを提供し続けるため、BCP(事業継続計画)を策定し地域社会への影響を最小限にする体制を構築しております。
3)医療従事者から選ばれる病院について
3-1)「人や国の不平等をなくそう」
医療従事者から選ばれるため「人や国の不平等をなくそう」を目標に、様々な背景の方がストレスなく働きやすいと感じる職場づくりを進めております。
まず、当院では「残業ゼロで働きやすい職場づくり」や「あらゆるハラスメントは許さない職場づくり」など、持続可能な医療介護サービスを提供していくためにウェルビーイング経営を推進しております。
また、業務効率が悪いと働きにくいと感じてストレスが高まります。当院ではこれを解決するために様々な業務改善デバイスを導入しています。2018年にはタブレット端末を用いたオペレーションがCT装置で初めて採用された「SOMATOM go」マルチスライスCTを導入しました。2020年には入院患者様の医療必要度の高まりから、アンテナ設置工事の上で生体情報モニターWEP-1200を日本海側で初めて導入しました。同じく2020年には摂食・嚥下機能が低下した患者様が多いため、とろみ付けの手間を省き職員の負担軽減のため、とろみ自動調理サーバーを導入しました。2021年には「医療・介護のICT化」推進の一環として、ICT介護である見守り支援システム「眠りSCAN」を富山県下初となる介護医療院全室(100室)へ導入しました。
このほか「医師の働き方改革」も推進しております。医師の働き方については、完全主治医制ではなく、いち早く当直医制を導入しております。すなわち、平日の日中は主治医が対応し、休日・夜間は当直医(宿日直許可のある宿日直医)が対応する体制をとっております。
加えて、当院では2022年度よりスタッフのモチベーションを高めることができるよう、新人事評価制度を導入しました。
シニアスタッフの活躍推進のために新定年制度も導入し、60歳から65歳へ定年延長を行いました。また、当院では定年後の継続雇用制度もあることから、シニアスタッフの雇用継続の道も準備しております。
当院は個々の多様性を認める環境が確立しており、趣味のウィンタースポーツを楽しむために夏期シーズンのみ勤務する看護師もいますし、特定看護師(PICCの挿入など)・認定看護師・専門看護師・診療看護師(Nurse
Practitioner:NP)の方々も受け入れ可能となっております。
また、スタッフのライフステージに応じた勤務にも柔軟に対応しております。当院では仕事と育児の両立を支援するため、厚生労働省が推進する「イクメンプロジェクト」に賛同しております。既に男性の育児休業取得者がおり、男性の育休に取り組む「イクメン企業宣言」を富山県下の病院として2023年4月に初めて宣言しております。また「イクボス宣言」も富山県下の病院として2023年4月に初めて宣言しました。
3-2)ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン DE&I(DEI)の推進
このような取り組みが評価され、「ダイバーシティ(Diversity:多様性)&インクルージョン(Inclusion:包摂性) D&I」に取り組む企業を認定する日本最大のアワード「D&I AWARD 2023」において、全国の病院では唯一認定されました。
令和6年(2024年)からは、従来取り組んできた「ダイバーシティ&インクルージョン D&I」にエクイティ(Equity:公平性)の考えもプラスした概念「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン DE&I(DEI)」を推進し、「D&I AWARD 2024」においてはベストワークプレイスに認定されました。当院では、引き続き多様なスタッフ誰もが輝き、そして活躍できる働きやすい職場を目指します。
さらに、今後は「この病院・施設で働いていて良かった」「この病院・施設で働き続けたい」というビロンギング(Belonging:帰属意識)を持ちながら自分らしく働ける環境を感じられるよう、「ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン&ビロンギング DEI&B(DEIB)」も重視してまいります。
4)未来の野村病院について
上記の取り組みを行いながら、中長期的に次の50年を見据えて「医療介護の新たな取り組みと職場環境に新たな挑戦をすることで、新たな病院価値・施設価値の創造」を目指してまいります。