言語聴覚士が少ない3つの理由について 言語聴覚士の歴史・言語聴覚士の養成施設校・言語聴覚士国家試験合格率は? ~超高齢社会における慢性期病院の言語聴覚士と将来性~
2025.03.04
言語聴覚士は、嚥下障害や言語障害、構音障害等を抱える人に対して評価を行い、それに基づいて訓練や指導等をおこないます。
日本言語聴覚士協会によると、2023年度の言語聴覚士有資格者数は41,657人になります。
同じリハビリテーション専門職である理学療法士と作業療法士と比較すると、有資格者数はどうでしょうか。
日本理学療法士協会によると、2023年度の理学療法士有資格者数は213,735人になります。
日本作業療法士協会によると、2023年度の作業療法士有資格者数は113,649人になります。
理学療法士と作業療法士の有資格者数をみると、言語聴覚士の有資格者数が少ないことがわかります。
言語聴覚士の有資格者数が少ないのはなぜでしょうか。
これにはいくつかの理由が考えられます。
1)1997年に国家資格として制定されたため
言語聴覚士は1997年に国家資格として制定されました。1999年に第1回の言語聴覚士国家試験が実施され、晴れて初の言語聴覚士が誕生しました。
一方で、理学療法士と作業療法士は、1966年に第1回理学療法士国家試験と第1回作業療法士国家試験が行われました。
2)言語聴覚士の養成施設校が少ない
同じリハビリテーション専門職である理学療法士と作業療法士の養成施設校と比較すると、言語聴覚士の養成施設校が少ないことがあります。
3)国家試験合格率の関係
2024年2月に施行された第26回言語聴覚士国家試験の合格率は72.4%でした。
同じリハビリテーション専門職である理学療法士と作業療法士と比較すると、合格率はどうでしょうか。
2024年2月に施行された第59回理学療法士国家試験の合格率は89.3%でした。
2024年2月に施行された第59回作業療法士国家試験の合格率は84.4%でした。
言語聴覚士国家試験合格率が、理学療法士と作業療法士国家試験合格率より低いことがあります。
日本は超高齢社会であり、これを反映して摂食嚥下障害などのリハビリテーション需要が増加しています。このため、言語聴覚士の病院における重要性はますます増加するといえます。
医療法人社団尽誠会 野村病院では、言語聴覚士だけでなく医師、歯科医師、看護師(摂食嚥下障害看護認定看護師及び専任看護師)、作業療法士、理学療法士、歯科衛生士、管理栄養士で構成された摂食嚥下サポートチームが摂食嚥下障害患者へアプローチし、多職種連携によるチーム医療を実践しています。
また、金沢医科大学病院 摂食・嚥下センターと連携し、VEカンファレンス(嚥下内視鏡カンファレンス)での診断と治療のディスカッションを行っています。



